DubDub’s blog

気分が安定しないので、ブログの内容もまとまりません。

最高にトゥースな半日

若林正恭:お笑いコンビ「オードリー」を相方の春日と一緒に組んでいる。漫才師。若様とも呼ぶ。

 

今日は日曜日。

私が入院している病院では、日曜日はシャワーが浴びれない設定となっている。

なぜかは知らないが、いくらシャワーを浴びたくても、日曜日は我慢しなければならない。

 

この病院でシャワーをするには、ナースステーションにある紙に名前を記入し、あらかじめ予約をしなければならない。

9:30~15:30まで、30分刻みになっているその紙に、自分の名前を書いていいのは朝の7:00~だ。

私はきれいなお風呂を使いたいので、毎日9:30~10:00の一番風呂枠をめがけて、毎朝7:00に起きては、寝ぼけたままナースステーションへと歩く。

しかし、そんな健気な努力も無意味なのが日曜日だ。

 

今日、日曜日。

朝からやることがないので、午前中はカラオケに行こう!と昨日から心に誓っていた。

病院の最寄り駅の向こう側にある某カラオケチェーン店は「朝カラ」という制度があり、9:00~12:00までは部屋代が50円とお得だ。

このビッグウェーブにのらないわけにはいかないでしょ的なマウンドで、午前中時間ができる日はカラオケに行くことに決めている。

病院から出ていい時間は9:45~。

9:30からそそくさと外に行く準備を始める。

バッグにスピーカーと学生証が入っていることを二度確認して、9:45ピッタリ、看護師さんに「外、行きたいです」と伝える。

他にも9:45ごろのナースステーションには、喫煙に行く方々が今か今かと待機している。

そんな皆さんと一緒に病院を出て、私は一目散に駅の方へと足を進めた。

 

カラオケに行くには、駅(線路)を超えなくてはいけない。

カラオケの目の前には踏切が立ちはだかっている。

その踏切がまぁ、開かずの踏切なのだ。

私は律義に目の前に見えるカラオケの看板を眺めながら、踏切が開くのを待つ。

左の矢印が消えたかと思うと、右の矢印が付き…気づけば時刻は10時05分。

私は15分も開かない踏切の前で立っていたことに気づく。

さすがに見切りをつけて、少し離れたところにある歩道橋まで歩くことにした。

線路を超えて、カラオケにたどり着き、踏切の向こう側を見ると、さっきまで一緒に踏切が開くのを待っていたおじさんがいた。

なんかちょっと嬉しかった。

「性格悪いな…自分…」と思いながらも、自分が歩道橋まで歩いた時間が無駄じゃなかったことを噛みしめた。

 

雑居ビルの3階のカラオケへ、ウキウキな心を隠しながら入店。

入った瞬間、カウンターには思っていたよりたくさんのバイトがいて驚く。

レジはひとつしかないのに、5,6人のバイトがカウンターでひしめいている。

その瞬間、「日曜日に朝から一人カラオケかよ、、、寂しいやつ」とか思われてんだろな…と思ってしまう。(ネガティブ野郎の悪い癖)

そんなことを思いながら、カウンターへ行くや否や、「本日すでに満室となっております。11:00~のご案内となりますがよろしいでしょうか?」とかなり食い気味に言われてしまう。

私はどうせ、11:45には病院に戻らなければいけないので「あ、、そうですか、、なら、大丈夫です。ありがとうございます」と言い残し、カラオケを出た。

カラオケの外には、入る時には見えていなかった、中学生と思われる子たちがグループでカラオケを待っていた。

「そっか、、今日日曜日か…だからバイトもあんなに多かったんだ…やっぱ日曜日にカラオケは難しいんだな」と思い雑居ビルを後にした。

 

途方に暮れた私は、雑居ビルを出て立ちすくむ。

目の前に「本日ポイント2倍」と大きく書かれたスーパーに群がる人々が目に入る。

なんとなくそこに吸い込まれていく。

総菜コーナーをなんとなく探し、「病院食もこういうのでいいのにな…」と思う。

食欲が頭の大半を占めている私は、一瞬、「この総菜を買って、病院に持って帰って食べようか?」と考える。

しかし、病院食についている自分のランクが気になって、断念する。

 

病院食のランクとは、「自分がどれだけ残さずに食べるのか」がA~Fまででランク分けされているものだ。

私はもうすでに、Eランクなのだ。

食べるのが大好きな私だが、おいしくないものは本当に食べれない贅沢野郎だ。

なので、自然とEランクになってしまったわけだ。

しかし、さすがの私もFランクにはなりたくない。

「ここでおいしい総菜を買って帰ることもできるが、そうするときっと今日のお昼ご飯は食べれなくなる。そうなると私はFランクになってしまうかもしれない」という恐怖が、何とか私の食欲を抑えた。

スーパーを後にする。

 

散歩でもして病院に帰ろうかと思い、足が向く方に歩いてみる。

暑い。バッグが重い。

散歩するために出てきたわけではないので、服装や恰好が散歩向きではないことに、ちょっと歩いて、始めて気づく。

目の前にはマックの看板がある。しかも結構綺麗めなマックだ。

「よし、もうここに入ってゆっくりしよう。ってか、涼もう。」と思い、入店。

 

しっかり2階の端っこの席を陣取り、財布をもって1階のカウンターに下りる。

そういえば、今マックでは「平成の大人気商品が再び!!」みたいなのやってるよな?ユーチューブで見たぞ!!と思い、レジに並ぶ私。

しかし、レジのメニューには堂々と「朝マック」の文字。

「今の時間って、朝マックしかないんですか?」恐る恐る店員さんに聞く。

「そうですね。10:30~普通メニューになります」と0円スマイルで返され、何を頼んでいいのかわからず、「わかりました!!また来ます!」と笑顔で返す私。

陣取った席に戻りながら、携帯で時刻を確認すると10:27の文字。

私はこの3分間、何も頼まず席に座って待つという図太さを持ち合わせていない。

「マックに行き慣れてたらこんなことにはならなかったのではないか。」と反省しながら、何もなかったかのように席に置いたペットボトルを持ち、そそくさとマックを後にしたのであった。

 

「さすがに、もう帰ろう。」「今日、私の居場所は外にない様子だ。」と思い、駅の方面へと歩く。

駅に着き、名残惜しさで駅のロータリーを眺めてみる。

目に飛び込んできたのは「本」の文字。

 

大の活字嫌いとして有名な私。

22年の人生の中で、自らの意志で本を読むという行為に及んだ回数が、片手で数えられる範囲だ。(悲しい事実。)

しかし、そんな私にも、今、実は読んでみたい本があった。

歩いて暑かったというのもあり、「とりあえず本屋に入って、涼んでから帰ればいいじゃないの。」そう思い、本日4回目となる入店チャレンジ。

 

何を隠そう、本屋など行き慣れない私は、本屋の中で何をみたらいいのかわからず迷子。

「自分のお目当ての本を、この大量の本の中から見つけられるわけがない。」と早々に諦め、本日4回目となる「退店」の2文字が頭をよぎる。

一通り本屋を一周し、とりあえずお目当ての本をスマホで調べてみることにした。

グーグル検索に「若林正恭 ナナメの夕暮れ」と打ち込む。

1番に出てきたAmazonのページを開き、「あー、ここで頼めれば、店員に自分の趣味を悟られなくて済むのにな」と思う。

しかし、そんなことは言ってられない。病院にAmazonするわけにはいかんのだ。

勇気を振り絞り、男の店員さんにAmazonのページを見せながら「これってありますか?」と聞く。

 

店員さんの第一声「あー、、、」

「うっわ、もう引かれたよ、これ。本屋に来て芸能人の本探すほどミーハーなことはないんだもん。本屋で働くってことは、絶対本好きじゃん。無理無理、そんなん。こんなこと聞いてほんとにすいません。」と心の中でお経を唱え、店員さんについていく。

すると店員さん「この本、今人気だからね…これは置いてないけど、こっちならあるね!」と言い、本棚から若林の別の本を取り出してくれたのだった。

つい、嬉しさのあまり「ありがとうございます!!」と大きな声が出た。

定員さんに出してもらった文庫本の表紙に書かれた「若林正恭 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」というクセの強い文字の並びをまじまじと眺め、考えた。

 

「どうせ、私だ。これ、買って読まなかったら最悪だぞ?まずは、図書館で借りるとかした方がいいんじゃないの?新品の本買うって、上級者がすることじゃん…」そう思いながら、頭には本好きの妹の顔が浮かんだ。

しかし、一度手に取ってしまったもの。

本の帯には、こちらに向かってほほ笑む若様。

そして、芸人が書く本が面白くないわけがないという謎の信頼感から、私の足はレジへと向かう。

「カバーお付けしましょうか?」と聞かれ、いっちょ前にも「お願いします」と答え、謎の優越感に浸る。

カバーがついた本を片手に、本屋を意気揚々とドヤりながら後にした。

 

こうなったら、止められない。

私は、この本を今すぐ読みたくなった。

しかも、カフェで。

そうだ。いつか自分もしてみたいと思っていた「カフェで本を読み、ゆっくりする」これを叶えるのは今しかない。と思い、駅を見渡す。

私は、スターバックスを探した。

しかし、あったのはドトールだ。

 

「しょうがない。ドトールに入るか。」と思い、本日5度目の入店を決意。

ドトールで失敗することはないという自信もあった。

なぜなら、1年ドトールで働いた経験があったからだ。

この時間はモーニングセットが看板なことも知っている。

何なら作っていた側だ。

 

本を片手にドトールに入店すると、案外綺麗なドトールだった。

私が働いてたとことは違っていいじゃん!!テンションは上がる一方だ。

毎度のごとく席を確保し、レジに向かう。

抹茶のタピオカにきなこソフトが乗った贅沢ドリンクが目に入る。

モーニングセットよりも、ミラノサンドが目に入る。

片手には本。(席に本を置かず持ち歩くという徹底ぶり)

 

私は、モーニングセットでは本に失礼だと思ってしまった。

モーニングセットは思ったよりも手が込んでいないことを知ってしまっているが故の謎判断だ。

私は、ミラノサンドBと抹茶タピオカきなこソフト付きを勢いで注文してしまう。

お会計は、本よりも高くついた。(苦笑)

 

そして、店員さんに申し訳なく思った。

なぜなら、タピオカというドリンクは作るのがめんどくさいため、一番注文してほしくないものだったからだ。

更に、モーニングセットがある時間にミラノサンドを注文してくるやつも、なかなかいけ好かないと働いてた時に思ったことがあるからだ

されて嫌だった行為をダブルコンボで決めてしまった私だ。

そんなこと思っていると、自然と店員さんたちに目が行っていた。

 

店員さんたちは3人。

レジに1人、フードに1人、洗浄が1人と、ベーシックなドトール勤務体制だ。

ドトールでは、大体レジの人がドリンクも担当するのだが、私が頼んだようなタピオカだと手間がかかるため、だれがヘルプに入るのかで気まずくなることがある。

その現象が、私がタピオカを頼んでしまったことにより、目の前で起きていた。

レジのお兄さんは気まずそうに、「タピオカお願いします」とフードや洗浄の人がいる方に向かって言っていた。

しかし、フードに入っている髪さらさら系男子と、洗浄をしている気が強そうなお姉さんは返事をしない。

フード男子と洗浄女子は仲良く談笑しながら自分の仕事をこなしている。

少しすると、フード男子が私のタピオカ作りに取り掛かっていた。

申し訳なさそうなレジの男の子。

「その気持ち、わかるよ。」と全力で言ってあげたくなった。

ドトールの職場環境って、返事してもらえないのが当たり前なのかな?」と、昔の自分を思い出しながら、レジの男の子と自分を重ねた。

 

そんなこんなで、席に着き、本を広げながら、ミラノサンドを頬張る。

そこで「あ、ミラノサンド食べたら、今日の昼ごはん食べれないじゃん。」と病院食ランクのことを思い出す。

しかし、時すでに遅しだ。

目の前には美味しそうなミラノサンドとタピオカ。食べるほかない。

 

本を読みながら、何かを食べるなんてことはしたことがないので、片手で本を持ち、片手でミラノサンドを持ち食べるという器用なことがうまくできない。

私らしく、白い服をミラノサンドからはみ出し落ちたエビで汚した。

結局、片手で食べるのは諦め、本を置き、食べることに集中する。

すると、本を持つ手を使うので、本を持った時に指の跡がつく。

お手拭きで拭いても、指の跡がつくのでちょっぴりイライラ。

改めて本にカバーを被してもらったことに感謝しながら、本を読み進めていく。

案の定、本はとても面白く、どんどん読める。

食べ途中、飲み途中で汚くてすんません。

 

満面の笑みで本を眺めている自分にふと気づき、我に返る。

目の前のカウンターを眺めてみると、さっきのレジ係の男の子がいない。

「シフト終わったのかなー、お疲れだったなー」と思いながら、よくよく見ると、さっきの洗浄女子がレジに入って回している。

しかし、皮肉なことに、さっきのレジの男の子がいた時よりも、店員の人数は減っているのに、お客さんの回転は速いのだ。

 

そのとき、「あ…自分もそういう存在だったんだろな…」と何気なく悟ってしまった。

私はドトールで今日見たレジの男の子よりも仕事がへたくそだった自信がある。

そして、彼よりも確実に嫌われていただろうということも、自覚している。

そう思うと、ほんとに悲しくなってきたのだった。

そして彼には、もっと働きやすい場所があるよと言ってあげたくなった。

そんな社会での居場所的なことをと何気なく考えながら、本に目をやると、同じように社会での自分の居場所について悩み、苦しんでる、著者若林がいた。

ドトールのカウンター一つで、いろいろと勝手に傷ついてる自分を、若様が「わかるよ」と言ってくれてる気がして、最高にトゥースな時間であった。

 

オードリーのオールナイトニッポンを知って、早3年ちょっと。

最初は、「面白い!!」という感情だけだったのに、だんだんと若林正恭という人間の生々しさに惹かれだして、とうとう本まで買ってしまった私。

自分の生きづらさとか、考えすぎな所とか、ただただそれが邪魔だと感じることがかなり多いけれど、若様がそれを芸にしてるのを見ると、決して余計なことじゃないと思えるどころか、そこに価値を付けるのは自分自身なんだと、「一緒に戦おう」と言ってもらえてる気がしていいです。

 

ただのリトルトゥース(オードリーのラジオを聴いてるファンの名前)の半日をたらたらとお届けした感じで恐縮です。

ただ、今日という日もオードリー若林正恭に助けてもらった素敵な日でした。

ありがトゥース!!